Je prefererais ne pas – I would prefer not to
できればそれは、したくないのです
◆『バートルビー』の謎は、写すこと(再び−書くこと)に他ならない「純粋な」書く
こと、その中でこの能動性が消えゆく受動性[passivite]、通常の受動性(再−生産)から
あらゆる受動的なものの彼方へ知らず知らずのうちに、それでいて突如として移行する
[passer]、そのような受動性に由来している。死にゆくという隠れた慎みを抱いた生はか
くも受動的であるために、それは、死を解決策としてもたず、死を逃げ道にすることは
ない。バートルビーは写す。彼は絶えまなく書くのであり、監督のようなものに従うた
めであれ書き止めることはできないのだ。できれば(それは)したくないのですが。こ
のフレーズは、われわれの夜の奥底で語っている。否定的な好み[preference negative]、好
みを消し、好みのうちに消える否定、すべきことがないということの中性的ななにか、
強情と呼ぶことはできない、そして、この数語によって強情さを水泡に帰してしまう優
しさ。言葉は、永続することで、沈黙する。
Maurice
Blanchot, L'Ecriture du desastre, Paris, Gallimard, 1980, p.219より。