Je prefererais ne pas    I would prefer not to
できればそれは、したくないのです

 

 

『バートルビー』の謎は、写すこと(コピー)再び書くことに他ならない「純粋な」書く

こと、その中でこの能動性が消えゆく受動性[passivite]、通常の受動性(再−生産)から

あらゆる受動的なものの彼方へ知らず知らずのうちに、それでいて突如として移行する

 [passer]、そのような受動性に由来している。死にゆくという隠れた慎みを抱いた生はか

くも受動的であるために、それは、死を解決策としてもたず、死を逃げ道にすることは

ない。バートルビーは写す(コピー)。彼は絶えまなく書くのであり、監督のようなものに従うた

めであれ書き止めることはできないのだ。できれば(それは)したくないのですが。こ

のフレーズは、われわれの夜の奥底で語っている。否定的な好み[preference negative]、好

みを消し、好みのうちに消える否定、すべきことがないということの中性的ななにか、

強情と呼ぶことはできない、そして、この数語によって強情さを水泡に帰してしまう優

しさ。言葉は、永続することで、沈黙する。

 

 

Maurice Blanchot, L'Ecriture du desastre, Paris, Gallimard, 1980, p.219より。

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